2015年掲載 施工実例レポート
更新日:2015年01月23日
古建材を再生した、
懐かしくて
新しい家
肥塚建築
リフォーム魚津市・N邸
語り継ぐべきは
一家の思い出と伝統文化
ケヤキやヒノキなどの耳慣れた木材以外に、花梨やアカシヤ、タガヤサン(鉄刀木)といった高級木材、さらに天井の一部には、何百年も土の中で眠り続けた「神代杉」があしらわれるなど、そこかしこに貴重な銘木が用いられたN邸。また今回のリフォームで、それまで天井に隠れていた梁もあらわになり、保管されていた彫刻欄間もお目見えした。木の良さを存分に味わえるこの家は、さながら〝木の博物館〟のようだ。
「木の家に住みたい」という願望は、誰の中にもあると思う。だがリフォームされたこの家を見ていると、その手法がたいてい、木材を人間の生活にあてはめた自分よがりなものではないかと気づかされる。曲がった木の個性さえ尊重する大工職人の技を目の当たりにし、人は自然に対してもっと謙虚でなくてはと思う。ノミやカンナで木と会話しながら造られた家は、一家の思い出を引き継ぐばかりでなく、今は失われつつある、伝統文化の継承者でもある。
間取り
リフォームポイント
問題点A 使い道なく 閉ざされていた小屋裏
活用されていなかった小屋裏は、ダイニング上部の構造材を意匠として見せ、キッチン上部は書斎スペースに。吹き抜けになり開放感が生まれたダイニングから小屋裏書斎を見上げると、再利用した書院窓の建具が存在感を放ち、夜は障子灯りがまた趣き深い。
問題点B 光が入らず、暗く 使いづらかった和室
廊下に囲まれ暗かった和室は、DK側に光の通り道をつくり、玄関側にも明かり窓を設けリビングに改装。光沢ある花梨の床が重厚感を漂わせ、客間としても十分活用できる空間に。天井の一部には、数百年土の中で眠っていた「神代杉」が使われている。
問題点C 料理は壁に向かって 孤独だったキッチン
キッチンは位置を変更。比較的新しかったシンクは再設置したのだが、ダイニングと対面式にすることでイメージは一新。料理中の孤独が解消され、会話も弾むように。キッチンカウンターには、紫を帯びた黒褐色の縞柄杢目が美しいダガヤサン(鉄刀木)を使用。
- スケジュール
- 情報収集開始 2013年12月ごろ
具体的行動 2014年1月ごろ
依頼先決定 2014年2月ごろ
工事契約日 2014年3月10日
リフォーム設計期間 約8週間
工事着工日 2014年4月1日
竣工 2014年7月31日
- メーカー担当者
- 肥塚建築
代表 肥塚 光義さん - 宮大工の技術と気概で
職人ならではの家を!
家族にとって家は、生活の舞台であり、歴史が刻まれていく場所。長い年月を過ごす住まいに愛着をもっていただけるよう、特にリフォームでは思い出がしみ込んだ古材や建具を大切にしています。古いものを活かすのは、ゼロから造り上げるよりも大変なのですが、古民家には今や入手困難な良材が使われていることも少なくありません。天然木に敬意を払い、宮大工の技術と心意気を遺憾なく発揮して家を建てたいと思っています。
- 肥塚建築
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所在地:
魚津市出1402
TEL:0765-23-0809
FAX:0765-24-5722
URL:https://hizuka-kenchiku.com/
メールアドレス:hizuka.kenchiku@gmail.com
営業時間:10:00~18:00(予約の場合、時間外対応可)
定休日:日曜、祝日