「ただいま」「おかえり」が
ずっと言える親子でいたい。

　息子を持った時、親には二つの願いが生まれる。一つは、元気にわんぱくに育ってほしい、ということ。そしてもう一つは、きちんとした子になってほしいという、一見相反するような願いである。
　自分の部屋ができ、使いやすい収納を設けてもらったことで、息子たちは自分で物や服を片付けるようになったと語る、Ｙさん夫妻。建築士の平光さんは、子供が成長するということは、財産が増え、持物が増えるということ。しまう場所がなければ、片付け上手にもなれないと、収納場所をたっぷり確保してくれた。
　リビング階段は、両親たっての希望だった。子供が大きくなり、成長し、年頃になり会話が減ったとしても、いつ出て行って、帰ってきたか分からないような家では寂しいと思ったからだ。一目顔を見て、いつまでも「おかえり」や「ただいま」の会話ができる家族でいたい、同じく親である平光さんもその気持ちに共感してくれた。
　この家で、どんな素敵な青年たちに成長していくのか、両親と一緒に、建築士は将来を夢見ているのかもしれない。

少年と、少年の心を忘れない
お父さんも無邪気に！

　さて、多少わんぱくであっても、子供たちが元気よく育つために親が用意したのは、とっておきのアウトドア空間―芝生の庭だ。サッカー好きな親子が一緒にボールを蹴り合えるほか、キャンプやバーベキューも楽しめる。
　どんなに汗をかいて、洗い物が増えても大丈夫。脱衣場と洗濯場を兼ねたサニタリースペースには扇風機が備え付けられていて、一度にたくさんの衣類を乾かすことができる。もし物干し竿が足りなければ、遊び心で取り付けた懸垂用のポールも使ったっていい。
　ちなみに、ご主人の趣味はミニカー集め。大人になっても少年の心を忘れないお父さんのために、建築士はミニカーのディスプレー棚をプレゼント。こうして、親子ともども無邪気になれる、大満足の家が完成した。